昔から「バカはカゼをひかない」と申します。
この由来はハッキリとはしないらしいのですが、確認されている中での最古のモノとしては譬喩尽(たとえづくし)という江戸期のことわざ集に載っているそうです。
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000115724
※一方で「夏カゼはバカがひく」とも申しますが、これは「バカは夏にカゼをひく」という意味では無く、「冬にひいたカゼに夏になって気が付くぐらい鈍感」という鈍さのたとえとしての慣用句だそうです…しらなかった。
漢方ではカゼだけでなく全ての病は本人の体力の低下から引き起こされるとしています。体力の低下する原因としては大きく2つ。
- 心的ストレスの蓄積
- 不摂生(飲食の不摂生・気候にあわない衣服住居・肉体の使いすぎ・過剰な性生活などなど)
このどちらか、あるいは両方の原因によって体力が低下すると、気候の変動に対して適応できず免疫機構が正常に働かなくなり病を発症する、というのが漢方の考える病理の基本です。
「バカはカゼをひかない」という慣用句は心的ストレスを溜めない人は体力を損なうことが無いため健康だということを示唆しています。
また、この観点からすると「泣きっ面に蜂」、あるいは「弱り目に祟り目」という慣用句が対語としてあてはまります。
精神的に弱っている時にカゼをはじめとした体調不良を引き起こしたり、体のあちこちを痛めたりということは意外とよくあります。漢方の病理学上ですと悲しみに暮れている時は上気道感染(いわゆるカゼ症候群)や喘息などの呼吸器の症状の悪化、物思いに暮れている時は消化器系の不調、気の使いすぎですと不眠・動悸・ほてりなど、心的ストレスの種類により罹患する病も変化するとされています。
無神経なのは困りものですが、物事を過度に気にしないで居たいモノです。