つい先日、例年より早く木枯らし一号が吹いたそうですが、今年の冬は暦の上でも厳冬になると予想されています。

寒い冬に温まるための食品は色々ありますが、その代表的なものの一つにショウガがあります。確かにショウガを食べるとおなかも手足もポカポカとあたたかくなります。

ところが夏にもよくショウガを食べますね。夏にショウガを食べると汗をかいて涼しくなります。

さて、ショウガは体を温める食材・冷やす食材のどちらなんでしょうか。

加工の有無で薬性の変わるショウガ

ところで、この文章の中でショウガをカタカナ記述してきたのには理由があります。

漢方薬の原料となる生薬としてもショウガは使われますが、その加工法によって効果の異なる「生姜(しょうきょう)」と「乾姜(かんきょう)」の2つに分かれてしまうからです。漢字で書くと生薬としての生姜(しょうきょう)と混同してしまうため、カタカナで表記しています。

「生姜」は生のままのショウガ、「乾姜」は乾燥させたショウガです。

※実は日本と中国でショウガを生薬に加工する方法が異なります。どちらを紹介するか悩んだのですが、加工法が漢方処方集の原典に忠実なことや実際の成分変化を鑑みてここでは中国式を紹介しています。

「生姜」「乾姜」ともに消化器を温める作用を持っています。それに加えて生姜は骨格筋・脂肪層などに篭もった熱を汗とともに体外へ発散させる作用が強く、乾姜は発散作用は弱まるかわりにお腹をあたためる作用が一段と強い、とされています。

ですので、体に熱がこもりやすく冷飲冷食で胃腸を冷やしやすい夏には生のショウガが、体の冷える冬には乾燥ショウガが適しています。漢方ではカゼの時には汗をかいて治すのがセオリーですので風邪薬に配合されているのは生姜、冷え性によく使われる薬には乾姜が入っています。

なお、科学的にみても生ショウガの辛み成分であるジンゲオールが乾燥させることでより辛みの強いショウガオールに変質することが知られており、生薬におけるショウガの使い分けを裏付けています。

手軽な乾燥ショウガ

とはいっても、乾燥ショウガを作るためにショウガを天日干しにするのは大変ですが、手軽な方法があります。ショウガの辛み成分の変質はショウガから水分が抜けることで起こりますので(古いショウガが辛いのはこのためです)、ショウガスライスを電子レンジにかければ短時間で簡単にできます。

出来あがった乾燥ショウガは紅茶などに1,2片落として毎日のむといいでしょう。