いよいよ夏の甲子園のシーズンですね。
普段は野球よりもサッカーをよく観ていますが、それでも甲子園は楽しいです。負けたら終わりのトーナメント戦ならではの緊張感や切迫感はたまりません。
新聞によると始球式は王さんらしいですが、最近メディアにでてくる写真を見てるとヒョロヒョロのおじいちゃんになってしまわれていて、甲子園のマウンドのようなクソ暑いところに引っ張り出して大丈夫かと本気で心配してしまいます。
マウンドもそうですが、グラウンドもスタンドも大変暑いそうで、大会中どのぐらいの人が熱中症で運ばれていくんでしょうか?いくら水分を取って対策してても結構な人数が運ばれてるんじゃないかと思ってしまいます。
【熱中症 = 日射病?】
ところで熱中症、以前は日射病とか熱射病とか言われていました。いつの間にやら名前が変わったのは、屋外でなく室内でも起こすから日光を想起させる名称はやめた方がいい、という判断からだと聞きます。
そもそも現代医学による熱中症はどんな病気(?)かというと…
本質的には、脱水による体温上昇と体温上昇に伴う臓器血流低下と多臓器不全である。
(引用元:wikipedia『熱中症』)
まず脱水症状があり、それで体温が下げられなくなり、その結果全身に色々問題を引き起こす病気だということですね。この解釈だと、水さえ取ってりゃ何とでもなる、ということになります。
【熱中症 ≠ 日射病?】
ところが、漢方では熱中症と日射病、切り離して考えないといけません。
漢方では、色んな原因(ストレスや不摂生)で体力が低下しているときに、過酷な外気候の変化にさらされると病気になると考えられています。
この外気候の変化は「邪」と呼ばれます。邪には風(”風邪”ですね)・暑・火・湿・燥・寒の6つがあるとされます。それぞれに体が影響を受けやすい部位や発症する症状が異なりますし、治療方法も異なります。
熱性の邪に「暑」と「火」があります。暑は空気の暑さ、火は光線による熱さです。いわば「暑」はエアコン、「火」は電気ストーブです。この2つは暖かさの質が違うのは理解して頂けるかと思います。
つまり、熱中症と言っても、直射日光に当てられてやられるのと、室内でエアコンを付けずに倒れるのとでは訳が違うのです。
特に火にやられる場合、ほとんどが頭に直射日光を受け続けた結果、頭蓋内の温度が異常上昇して様々な症状が引き起こされる訳で、これは脱水による体温上昇とは分けて考えた方がいいですし、「熱中症」の認知を高めたいのは分かりますが、「日射病」という病名もちゃんと残しておいた方が良いんじゃないのかなぁ、と思ったりするのです。
鍼での処置でも熱中症/日射病の処置はアプローチが異なります。熱中症の場合なら体にこもった熱がちゃんと発散する様に体の水分循環をよくして脱水状態を改善する治療になりますし、日射病なら頭部の鬱熱を冷やしたり体の上下の熱循環を促して頭部に篭もった熱を逃す手当になります。
【熱中症予防に普段できることは?】
熱中症予防によく言われるのは水分・ミネラル・温度管理(エアコン・帽子・冷やすグッズなど)ですが、その他に「清暑益気湯」を服用するという手もあります。
暑気あたりに効くとされ、飲むと体が涼しくなり、のどが渇きにくくなります。また、胃薬の類いですので、夏場の弱った胃腸を強め夏バテ予防にも効果があります。
ただ、市販薬が無く、購入にはお医者さんの処方箋が必要となるので、かかりつけのお医者さんに「こういう薬があるという話を聞いたんだけど、毎年夏バテするし、処方してもらえないだろうか?」と相談してみてください。