逆流性食道炎に対する鍼治療の考察

 当院にお越しになる方で、主訴ではないが基礎疾患として逆流性食道炎の診断を受けている方が過去何名かおられました。
 当時、主訴ではないので、治療の対象としてはあまり積極的には扱ってはこなかったのですが、最近ふと「逆流性食道炎は鍼での治療がかなり有効なのではないのか?」と思いつきました。
 備忘録として書くついでに、こちらにも考察を残しておこうかと思います。

逆流性食道炎の腹証

 鍼での逆流性食道炎の処置の有効性が高いのではないかと思ったきっかけは、漢方薬の世界での、逆流性食道炎の腹証(おなかの所見)です。漢方で逆流性食道炎の所見とされるのは以下のものです。

  • 心下痞鞕(胸やみぞおちのつかえ・重さ)
  • 振水音(おなかをゆするとチャプチャプと水の音がする)
  • 腹力(おなかの筋力がよわい・あるいは緊張して硬い)

 それぞれの腹証と逆流性食道炎の関連を考察すると、共通する構造がみえてきました。

心下痞鞕

 心下痞鞕の状態ですが、実際に体をみると肋骨が下がったままロッキングされ、横隔膜も下がったままになっています。心下といわれる箇所を押したときに圧迫感があるのは、緊張して下がってきた横隔膜を押してしまうからでしょう。

 この状態は緊張した横隔膜が腹腔を上から押しつぶしている形になり、胃が蠕動運動をするためのスペースが潰れてしまいます。
 そのため、胃が動いたときに内容物が上に逆流してしまう可能性は高くなるでしょう。

振水音

 振水音については、上記のように胃の活動が邪魔されている状態なため、内容物が長く胃にとどまっているためではないでしょうか。

腹力

 最後に腹力ですが、筋力が弱いケースでは、腹だけでなく全身の筋力がおとろえていて、体幹を支えられず、おなかの部分がくの字にまがっていると思われます。
 そして、くの字に曲げられることで胃が圧迫され、内容物が上に逆流するものと思われます。


 一方、おなかが緊張しているケースでは、腹直筋が堅く縮むことで肋骨が持ち上がるのを邪魔し、心下痞鞕と同様に腹腔を潰すような役割をしているのではないかと考えられます。

まとめ

 このように、逆流性食道炎には胃酸過多やピロリ菌などに由来する病理的なもの以外に、こういった機械的なケースも考えられるのではないか、そして機械的なケースであれば、鍼は非常に有効性が高いのではないか、というのが考察です。

  実証はまだこれからなので、成果があれば何らかの形で報告させていただくかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です