ブログ記事を更新するのはとても久しぶりです。今まで何をしていたのかというと…山を走るスポーツ・トレイルランニングにどっぷりとハマっていました。
自分で体を動かして、速くなるためにトレーニングをして、時にはケガをしたりしているうちに、人体についての考え方がどんどんと変わってゆき、そのためにたくさんのインプットが必要となっていってアウトプットしたい欲求がなくなってしまっていました。
特にケガはとてもいい勉強になりました。足底・足首・スネ・ふくらはぎ・ひざ・股関節と一通り故障を経験しました。ランニングのケガは転倒したりぶつけたりして起こす訳でなく、走ってるうちにあちこちが痛みだすことがほとんどですが、それは体の動作にエラーがあるということです。正しい(そして速い)体の動かし方の追求していくことは、実は走らない人の体の動き(そして痛み)にもつながることなのです。
そんな中から、今回はひざ痛、特に変形性関節症がどういったところから起こり始めるのか、ということについて私の見解をおはなしさせていただきます。内容としてはアスリート向けではなく、普段、運動をしていない方向けの話になります。
ひざという関節は、太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)との間の関節です。太ももとスネの間は多くの強い靭帯と、複数の筋肉で繋がれ、そのど真ん中に関節包という水の入った袋が入っていて、この袋の中で大腿骨と脛骨の関節軟骨が向かい合っています。下の図の右側の青い部分が関節包、左側が関節包を取り囲む筋肉や靭帯です。関節包はまわりからガチガチに固められているため、水圧でクッションのような状態になっています。
さて、軟骨の減り方には個人差がありますし、すべての人の関節軟骨がすり減るわけでもありません。軟骨の減りを早める要因はいろいろかと思いますが、全ての要因に共通するのは「大腿骨と脛骨が近づきすぎてコツコツと当たる」ということでしょう。ではなぜ近づいてしまうのか。
ひとつは、垂直方向に衝撃を与えた場合で、これが最もよく言われる原因かと思います。関節包のクッションで支えきれないほど強い衝撃なら関節軟骨同士が当たってしまうことでしょう。スポーツに長期間取り組んできた方ならこちらの要因が多いでしょう。
しかしながら、変形性膝関節症を起こす方には「私、そんな運動してない!」という人のほうが多いんではないでしょうか。そういう方はもう一つの要因である場合が多いです。それは、太ももとスネの位置関係がネジれているケースです。太ももは外に向いているけど、スネは正面を向いている……そうなると、膝関節は捻られてしまいます。捻られることで骨同士は接近してしまい、普通に動くだけで関節軟骨がすり減ってしまうような状態になってしまいます。
なぜ膝関節がネジられるのかについては色んな原因があります。よくあるケースを挙げていくだけでも、
- 老化によってお尻やもも裏の筋肉が衰えて股関節が外に開いてしまうケース
- 前ももの筋肉が固すぎて膝を内側に巻き込んでしまうケース
- 外反母趾のため足首からスネが内側に過回転してしまうケース
- 座りすぎで股関節の結合繊維(ファシア)が癒着してしまい、動作が制限されてしまうケース
他にも外傷の後遺症、上半身の動作異常が下半身に伝わるなど様々な原因があり、特定するためには日常生活動作のヒアリングと全身の観察とが必要になります。
また、変形性膝関節症の予防のために筋トレしましょう、というのはよく言われますが、どのような筋トレなりストレッチが有効なのかはその方の状態によって変わります。ご自身の状態を調べたい・あるいは効果的な予防法を知りたいという方は当院へ来院されることをお勧めします。