少し前の記事になりますが…

「汗をかいてデトックス」はウソだった、研究報告 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

「普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎません」と、インベルト氏は言う。さらに運動を激しくしたとしても、0.04%程度までしか増えない。

 つまり、どんなに大量の汗をかいたとしても、その日体内に摂取した汚染物質の1%すら排出できないということだ。

 汗には老廃物や毒素というのはほとんど含まれないよ、という海外記事の翻訳です。西洋の民間療法にはさほど明るくないのですが、この記事やこれを見る限り向こうにおいても排毒すれば健康になるんだというようなイメージが普及しているのだと思います。アーユルヴェーダも(詳しくないですが)水や油を通じて体の毒素を抜くというような考え方を持っていたように記憶していますし、毒を抜くというイメージは人類共通で共感しやすいものなのでしょうね。

 日本においては江戸期の後藤昆山の一毒万病論という和製デトックス論を唱えます。それが古方派という大派閥を作った吉益東洞に受け継がれ、以降国内の漢方医の中で滅茶苦茶流行ります。

 ですが、日本を含む中国発の東アジアの伝承医学というのは本来は循環の正常化というのが治療原則でありました。病の根っこというのは毒物ではなくて、循環を邪魔するモノ(邪とか痰とか瘀(お)血とか呼ばれるもの)であるとされています。ですので、きちんと体系だって勉強している派閥と古方派の間で大変な論争になるんですね。

 結局、古方派の方が現在に至るまで日本では支配的になるという結末なんですが、実体と異なっていてもわかりやすい方が人口に膾炙しちゃうというのは人の業を感じますね…