腰痛で鍼灸院にかかられる方のお医者さんによる3大診断名は「ぎっくり腰(急性腰痛)」「椎間板ヘルニア」「坐骨神経痛」です。
ぎっくり腰は急性のモノですのでそうでもないですが、椎間板ヘルニアと坐骨神経痛は大体お医者さんからの診断があって、治療もしてダメだったので鍼灸院に来ましたという事が多いです。
実はこの2つの診断名が出ている患者さん、ホントにその病名でいいのかなー?と思うことが多々あります。
特に椎間板ヘルニアという診断名が出ている患者さんですが、8割ぐらいはの下記のケースに当てはまります。
- レントゲン・CT・MRI等ではヘルニア所見が出ている
- 神経痛に特有の放散痛・しびれの所見がない。痛みの質も神経痛の痛みの質でない。
- 理学的検査で陰性
おそらく整形外科でも2,3についてはきちんと問診・検査をやっているハズなので画像診断上のヘルニア所見は腰痛に関連しないと診断すべきだと思うのですが、現実は画像診断における所見が全てとしているんじゃないかと思わせる節があります。すでに20年も前にアメリカ厚生省「成人の急性腰痛治療ガイドライン」及びイギリス医師会は「クリニカル・エビデンス」で椎間板ヘルニアの画像所見と腰痛の相関が無いことが示されており「腰痛の85%は原因不明」としていますが、日本の整形外科学会でのガイドラインはどうなっているのでしょうか。
http://arthro-reflex.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/85-2105.html
(また、「成人の急性腰痛治療ガイドライン」「クリニカル・エビデンス」では、いわゆる「背骨のゆがみ・骨盤のゆがみ」は腰痛の原因にはなり得ないことも示していますが、それはまた別の機会に)
お医者さんとして「原因不明」と言ってしまうと保険の請求などで色々と不都合なのは分かるのですが、そこはキチンとした仕事をしてほしいなぁ…と尻ぬぐいをする立場としては思ってしまうのです。
また、最近ではこの原因不明の腰痛に対して「心因性腰痛」という名前を付けて抗うつ剤などを投与するようなことも有るようですが、抗うつ剤や鎮静剤などを服用されているとはりが非常に効きづらくなるので勘弁して欲しいなぁ…と思うのでありました。
http://asahi.co.jp/hospital/archive/kaisyo/youtsu/shinin/